2026年5月
今年も学会シーズンが始まりました。4月は福岡で日本脊椎脊髄病学会、5月は神戸で日本整形外科学会に参加します。現在、両学会の理事を拝命しているため、翌日朝からの理事会等に備え、学会が始まる2日前には現地入りし、最終日までいなければなりません。大変です。その間に、北海道と大阪で講演も頼まれています。やはりこの時期は忙しいですね。
さて、今回はインターネットについて書きたいと思います。最近、オーストラリアで16歳以下のSNS禁止措置の法律が世界で初めて施行されました。フランス、スペイン、イギリス、ニュージーランド、マレーシア、インドネシアなどもこれに追随する動きを見せています。禁止の理由は有害コンテンツの閲覧、個人情報の拡散、闇バイトなど犯罪に巻き込まれる可能性のほか、若年者の健康への配慮もあるようです。長時間スマホに向き合っていれば、目にも悪いでしょうし、健康や姿勢にも悪い。最近はスマホ急性内斜視と言われるように、斜視の一因になっているとも考えられています。このコラムでも「ながらスマホ」について僕の意見を書きましたが(徒然ではないのですが…24)、この素晴らしい、21世紀でおそらく最も偉大な発明品の1つに数えられるであろうスマホですが、どうも今の若者を見ていると(若者に限りませんね)、スマホに支配されているようにも見えます。中学高校生に一日中スマホが必要か?そんなはずないですよね。何にでも興味がある時期ですから、時間があれば色々なサイトを覗きたくなるでしょう。それができないようにすることが、必ずしも悪いことではないように思います。便利なものが出ると、それがなかった時代には戻れません。ただ使い方一つで犯罪に加担するかもしれない、いじめなどの原因にもなり得るわけですから、今回の世界のSNS規制の方向性は歓迎すべきものだと僕は思います。問題は実効性を持ってこれを遂行できるかにかかります。おそらくは規制する側とされる側のイタチごっこになり、規制を破る生徒も必ず出るでしょう。それでも多くの生徒は規制を守るでしょうから、一定の効果はあると思います。スマホは便利な道具で、それ以上でもそれ以下でもない。上手に使うことが大切ですね。
もう一つはスポーツコンテンツの有料視聴についてです。ここ数年、ネットを使った有料放送が隆盛です。NetflixやAmazon primeなどですね。オリジナルのドラマなども作って評判も良いようです。ただ、今年のワールドベースボールクラシック(WBC)がNetflixの独占配信になったことに腹を立てた人は多いと思います。僕もその一人です。折角楽しみにしていたのに、今回のWBCの決勝ラウンドは1試合も通しで観ることができませんでした。人気スポーツの放映権はものすごい値段ですから、放送する側も有料放送にして儲けてやろう、と思うのかもしれません。スポーツ先進国のイギリスでは、法律によって「より公共性の高いスポーツイベントは無料放送で視聴できるようにすべし」と定められています(これを「ユニバーサルアクセス権」というそうです)。オリンピック、パラリンピック、サッカーW杯決勝トーナメント、などがこれに当たります。放送権料は各スポーツ団体が設定し、その権利を放送事業者が入札で取得するのは日本と同じです。公共性の高いスポーツイベントの放送権は、地上波無料で放送するBBCやチャンネル3などが入手するようになっているそうです。
今回のWBCは民放とNetflixなどが参加し、Netflixが150億円で放映権を獲得しました。このような莫大な購入費を民放はコマーシャル料で、ネットTVは視聴費とコマーシャル料の両方でまかないます。視聴費には会費のほか、注目度の高い試合やコンサートでは1回ごとのpay per viewで数千円以上取るものもあります。となると、無料放映の民放1社では勝ち目がないかもしれません。地上波ならNHKを含めて多くの放送局が結束する必要があるでしょう。プロスポーツであればそれを視聴する人が多ければ多い方が良いはずです。国民的な関心の高いイベントについては、無料視聴できるように規制してほしい。日本も「ユニバーサルアクセス権」を考える時期に来ていると思います。今年6月からはサッカーのW杯北米大会が開かれます。有料放送のDAZNが全試合放映するほか、NHKや民放も注目試合を放送するそうですから、WBCのようにはならなくて済みそうです。メッシやCR7のおそらく最後の大会ですので、楽しみに見たいと思います。
相澤 俊峰