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不定期コラム 徒然ではないのですが…8

2024年1月

皆様、明けましておめでとうございます。

今年のお正月は能登半島地震、羽田空港の飛行機事故と暗いニュースで幕を開けました。被害に合われた方々やご関係者には心からお見舞い申し上げます。

僕たちも2011年の東日本大震災で、巨大地震と津波の恐ろしさは身をもって体験しました。ですので、能登の皆様のご苦労は我がことのようにわかります。まして、沿岸部はともかく仙台の場合には電気は比較的早く使えるようになったので、停電が2週間以上続く現状は如何ばかりかと思います。僕が住んでいた地域は水道の復旧に3週間以上かかったので、友人の家に家族で風呂を借りに行ったり、3月の水しか出ない病棟シャワーで体を洗っていました。トイレ等非常にお困りのことと思います。一刻も早い復旧、あるいはその前に県内外を含めた二次避難所への移動等、住民の安全確保を期待します。

東日本大震災の際に全国各地から多くのご支援をいただきました。その恩返しというわけでもないでしょうが、宮城県や県内の市町村、東北大学、日本赤十字社や東北労災病院などからの応援・支援の動きは素晴らしく早いものだったと思います。同じような経験をした関係者が現地に入り適切なアドバイスをすることは、自然災害が多い日本で被害を大きくしないために大切なことだと思います。僕の同級生も少なくとも3人が現地に入りました。石巻赤十字病院と大学の同級生に加え眼科の開業医です。日本眼科医会は東日本大震災で活躍した眼科医療支援車両「ビジョンバン」を現地に向かわせるようです。座ってこんなコラムを書いている僕には、頭を垂れるしかありません。無事に任務を果たすことを祈っております。

さて、今年はどんな年になる(する)のでしょうか?教授になって3年が過ぎようとしています。その間に自分は何をしたか?目標に掲げた1)東北大学整形外科のプレゼンスの向上、2)診療圏内の整形外科医療格差の是正、3)世界に誇れる研究成果の発信、について、これまでの結果を見てみましょう。

1)については、まず一番大きな学会である日整会総会での発表演題数を増やし、「おっ、東北大やるな!」と他の大学のDrが思うようにしようと考えました。過去2回の採用演題数が各30、今年5月の総会でも把握しているところでは21演題が採択されています。以前は大体10−15演題だったので、教室員の頑張りのお陰で少し成果が上がっています。しかし、千葉大学や名古屋大学、北海道大学、順天堂大学など50を超える演題を出している大学もあります。今後もこの演題数以上を目指して毎年準備しましょう。期待しています。

2)では、うちの専門研修プログラムに入ってくれる先生が、毎年10−15人と増えました。人材が増えれば、関連病院を手厚くできます。彼(女)らが専門医を取る、あるいは大学院を卒業する3−4年後からは増員できる病院が少しずつ増えると思います。また、将来的には人口減少地区の病院の統廃合がおこり、人材の集約化、病院のセンター化が進むでしょう。特に必要とされる分野への計画的なテコ入れを少しずつ始めています。今後さらに当科の研修プログラムに入ってくれる若手が増えるよう、みんなで頑張りましょう。また、医学生や若手医師に魅力を感じてもらえるような病院の環境づくりを、大学の僕らはもとより、関連病院の先生にもお願いしたいと思います。

3)教授になってから今までの研究に加え、「肩こり」と成人脊柱変形を中心とした歩行解析の研究を始めました。「肩こり」に関しては眼科の中澤徹教授が中心となって採用された文科省COI NEXT(共創の場形成支援プログラム:SDGsに基づく未来のありたい社会像の実現に向けたバックキャスト型研究開発と、産官学共創システム構築を一体的に推進するプログラムで、大学病院の各科のほか保険会社やスーパー、製薬会社、スポーツクラブ、食品会社、メディアなど多くの企業が参画している『「みえる」からはじまる、人のつながりと自己実現を支えるエンパワーメント社会共創拠点』)に参加させて頂いております。データ取りセンターで様々な情報とともに「肩こり」のデータを集める予定で、現在その準備中ですが、何とか今年中に軌道に載せたいと思っています。

歩行解析は股関節グループ、脊椎グループが中心となって、いくつかの成果を発表してきました。またJCHO仙台病院の腰痛・仙腸関節障害学連携講座が中心に行っている二足歩行のメカニズムの解明、の研究にも協力しています。正常なヒトの歩行、病的な場合の変化など面白いデータが得られています。これらを学会あるいは論文として、少しずつでも報告して行きたいと思っています。

 

こうしてみると、目標には全然届いていないのがわかります。目標に届いていないということは、それを目指して頑張ればいいだけのこと。他の学部へ行った僕の同級生や後輩の中には、すでに第一線を退き、趣味の生活を送っている人もいます。目標や仕事があるのはありがたいことです。そう思って今年も頑張ります。みなさんも目標を持って、今年一年を精一杯過ごしてください。では、今年もよろしくお願いいたします。

相澤 俊峰

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