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不定期コラム 徒然ではないのですが…21

2025年3月

今年も東北大学整形外科同窓会(陵整会)総会が3月1日に行われ、100名をこす参加者で賑わいました。僕が入局した頃は、秋に大きな人事があり、春に規模の小さな人事がありました。しかし、井樋栄二教授の時代から、御子息の転校等を考え春に人事が一本化されました。同窓会総会も以前は6月に行っており、これは9月人事の時代には顔合わせにちょうどよかったのですが、4月人事の現在ではすでに人事も終わっています。そういう意味では、現在の2月から3月初めに行われる同窓会総会は、特に若い先生が新しい赴任先の先生とお話するのにとても良い機会だと思います。今年も多くの先生方が同窓会総会で“顔合わせ“をしてくれたのであれば、総会の意味も大きかっただろうと思います。

さて、2025年になったと思ったらもう年度末です。2025年、なにか新しいことにチャレンジしましたか?性格もあると思いますが、歳を取ってくると現状維持が一番、という保守的な考えになってくる人も多いと思います。僕もそうで、なかなか新しいことが始められません。今年1月のコラムにも書きましたが、「新鮮な体験が時間を長く感じさせる」のだそうです。新しいことにチャレンジしている人が若く見えるのは、そういうところにも原因があるのかもしれません。

日本人は欧米人に比べ、一般にチャレンジ精神があまり旺盛でないように思われます。その原因として、谷口たかひさ氏は著書「自分に嫌われない生き方」の中で教育の違いを指摘しています。日本では“義務”は教えるが“権利”を教えない、というのです。家庭でも学校でも「やってはいけない」、「やらないといけない」ことばかり教えられる。「他人に迷惑をかけてはいけない」、「廊下を走ってはいけない」などの禁止事項や、「家で予習復習をしなければならない」といったことです。すると頭の中が義務感でいっぱい=楽しくなくなり、新しいことにチャレンジする気がなくなります。また、何かをしようとしてもいろいろな「やってはいけない」ことを理由に、チャレンジすること自体を諦めてしまうのです。一方欧米では、「やって良い」「やらなくて良い」という“権利”を教えるそうです。頭の中で“権利”が優先すると、義務感(やらされる)からではなく、「やりたいからやる」というポジティブな姿勢になると言います。加えて、例え失敗してもチャレンジしたことを親や教師に褒められるため、それが成功体験として記憶され、また「何かに挑もう」という姿勢が培われるというのです。日本では失敗すると往々にして挑戦したこと自体を非難されますね。

日本でもチャレンジを推奨した人がいます。例えば、戦国時代薩摩藩の島津義弘公です。朝鮮出兵での勇猛果敢な戦いぶりで有名になり、関ケ原の戦いでは「島津の退き口」と言われる見事な退却戦を演じたことでも知られる武将です。徳川時代に島津家が九州で生き延びる基礎を作った人物とも言えます。その島津義弘公の教えと言われる「男の順序」という良い男ランキングがあります。

1位 何かに挑戦し、成功した者
2位 何かに挑戦し、失敗した者
3位 自ら挑戦しなかったが、挑戦した人の手伝いをした者
4位 何もしなかった者
5位 何もせず、批判だけしている者
6位 何もせずに批判するだけでなく、足を引っ張る者

ちなみに5位、6位の男は「卑怯者」とも言われるそうです。確かにチャレンジしないでいれば、失敗もしないかもしれません。しかし、それでは人生楽しくないでしょう。まして、挑戦している人を遠目でみて、「馬鹿だなあ、あんなことして。失敗するよ。」などというのは「卑怯者」のすることだというのです。成功しようが失敗しようが、チャレンジした人は何もしなかった人より上位なのだと島津義弘公は教えています。戦国時代にはこのような考え方があったのに、現代社会は失敗を過度に恐れてチャレンジしない風潮になっているようです。失敗は成功の母。傍観者でいるより、まずは何事にもチャレンジしたいものですし、それが無理でも挑戦している人を応援したいものです。

相澤 俊峰

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