東北大学整形外科学教室

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2022年度 専攻医募集中

募集期間:7月初旬~ ※専攻医の詳細はこちら

基礎・臨床研究

バイオメカニクス研究グループ

(肩関節)腱板断裂や肩関節脱臼の手術の改良と病態解明につながる研究を行っています。肩関節脱臼装置を作成し、肩関節脱臼を模擬して、脱臼した際の関節内損傷を観察し、どの肢位でどのような損傷が生じたかを調査し、肩関節脱臼のメカニズムの解明を行っています。肩インピンジメント症候群の病態解明のため、生体力学的手法を用いて主に肩峰下および烏口下で生じている接触・衝突現象を定量的に評価しています。肩関節脱臼患者において、関節窩軟骨損傷が肩甲骨関節窩と上腕骨の間の接触圧にどのような影響を及ぼすか調査しています。

(股関節)人工股関節(THA)の合併症の1つとして脱臼があります。脱臼を防ぐことがTHAの長期成績を更に良くするために必要だと考えられますが、股関節の安定性にかかわる軟部組織の役割については十分に明らかにされておりません。関節包靱帯や股関節周囲筋と人工股関節術後の股関節安定性の関係をより詳細に調査しています。

(膝関節)変形性膝関節症に対して行われる高位脛骨骨切り術に関する研究を行っています。術中に行う靱帯などの軟部組織への処置が、術後膝の不安定性に対してどのような影響を与えているのかを調査しています。また、高位脛骨骨切り術は骨の形態や長さに変化をもたらす手術であるため、これらの骨の変化は膝周囲の筋肉の緊張を上昇させると考えられます。膝周囲筋の緊張が足関節などの隣接する他関節にもたらす影響についても調査を行っています。

生体材料研究グループ

1. TiNbSn合金の臨床応用に向けた取り組み

東北大学金属材料研究所で開発した新規低弾性率チタン合金のTiNbSn合金の臨床応用に向けた取り組みを進めています。TiNbSn合金ステムの術後3年のデータではステム金属材料の低弾性率によりstress shieldingによる骨萎縮が抑制されていることを明らかにしました。またTiNbSn合金プレートモデル、髄内釘モデルでの骨癒合の促進効果について報告しています。更にTiNbSn合金の陽極酸化処理による二酸化チタン成膜により、骨誘導能改善効果、光触媒活性による抗菌効果について報告しています。上記技術の組み合わせによる画期的な人工関節、整形外科インプラント開発を目指します。

2. リン酸オクタカルシウムの臨床応用に向けた取り組み

東北大学で開発した人工骨であるリン酸オクタカルシウムの臨床応用に向けた取り組みを進めています。優れた骨新生能と生体分解性のみならず、手術で使用する際には優れた操作性が必要であることからリン酸オクタカルシウムとコラーゲンあるいはポリ乳酸ポリマーの複合体を開発し、その優れた骨新生能力を報告しています。TiNbSn合金ステムと同様に本学発の新規生体材料の臨床応用の実現に向けて努力を続けます。

軟骨・筋研究グループ

変形性関節症(osteoarthritis: OA)の発症と病状進行に関与する軟骨基質分解酵素や炎症性サイトカイン(interleukin-1など)の軟骨細胞内での発現調節に関わる遺伝子制御、特にDNAメチル化の側面からの解明に様々な実績を上げてきました。また網羅的遺伝子解析の手法を用い、変形性関節症の関節軟骨細胞で特異的に発現する種々の遺伝子群を解明してきました。

筋研究においては、骨格筋の加齢に伴う筋減少症、いわゆるサルコペニアに関する研究を行っています。具体的には、骨格筋細胞において転写因子NRF2がミトコンドリア機能を向上させ、かつ細胞内酸化ストレスに抗する役割を持ち、さらにそれを賦活化することによりマウスにおいて筋持久力が向上することを解明しました。

また、本学医工学研究科の阿部高明教授のグループが新規に発見・合成したミトコンドリア機能改善薬を用いて、ミトコンドリア機能改善による関節軟骨の保護効果および骨格筋の持久力増強効果などについて、分子生物学的な効果・機序解明を進めています。

肩こり研究グループ

肩こり研究班は肩関節グループおよび脊椎グループが中心となり、2021年4月に相澤教授の新体制のもと発足しました。肩こりは国民生活基礎調査を元にした有訴者率で見ると2013年、2019年ともに男性で第2位、女性で第1位となっており、国民病と言えるほど多くの人が困っております。昨今のコロナ禍の影響もありリモートワークが進む一方で、VDT作業と呼ばれる、パソコンなどのVDT(Visual Display Terminals)機器を使用した仕事の時間が増加することで肩こり人口はますます増えてくると考えられます。また、小学校におけるプログラミング授業の必修化などもあり、幼少期からVDT機器と触れ合う機会が増大することで、将来的にも肩こりに関連した様々な運動器疾患が増えてくることが予想されます。肩こりという言葉の起源は諸説ありますが夏目漱石の小説にも似た用語が出てきます。それほど昔から肩こりという病気は存在しますが、実は肩こりの病態や原因はいまだによくわかっておりません。古くて新しく今後も増えてくる肩こりという病態を何とか解明したいという思いで研究班を立ち上げました。

これまで明らかな病態がわからなかったということは一元論では説明がつかないとも考えられ、我々は複数科による共同研究で、多角的に肩こりの原因解明に挑んでおります。特に筋肉の硬さに着目し、最新式のエコーを用いた筋硬度計測を行なっております。

新規の筋硬度計測装置の開発も工学部と共同で進めており、試作品の段階ではありますが徐々に軌道に乗ってきております。

まだまだ立ち上げたばかりの研究でこれから発展していく途上です。この研究で得られた知見をもとに治療などを通して社会に貢献していきたいと考えております。

姿勢・歩行解析研究グループ

3次元歩行解析による腰椎変性後側弯症の歩行障害メカニズムの解析

近年、壮年期から老年期に多く発症する「腰曲がり(腰椎変性後弯症)」に伴う、姿勢異常に起因する歩行障害が注目されています。これらに対する治療方法は急速に発達してきましたが、その一方で原因や病態については不明な点が多いとされています。これらの疾患に対して、3次元動作解析装置を用いた姿勢や歩行の解析を行っています。脊椎形状と下肢の関節可動域の関連性を解析し、より効率的な手術療法およびリハビリ方法の開発を目指しています。

腰椎変性後弯症の遺伝子解析

「腰曲がり(腰椎変性後弯症)」の原因は多岐にわたるとされますが、その一因として遺伝子上の配列変化があるかを解析しています。ヒトの遺伝子(DNA)を構成する約30億対の核酸塩基配列の中には、個体ごとに配列情報が異なる数百万箇所の「単塩基多型(single nucleotide polymorphism: SNP)」と呼ばれる部分があり、これらの組み合わせが個人の生物学的な「個性」を作っています。「腰曲がり」の患者さんと健常人の間で、約80万箇所のSNPをジャポニカアレイ®を使用して網羅的に解析・比較し、「腰曲がり」のある患者さんに特徴的に出現するSNPを解析しています。これにより「腰曲がり」になる素因が遺伝子的に規定されているかを検証しています。

「背骨計」の開発

昨今のコンピュータ端末等の普及に伴い、座位で端末を使用する機会が増えています。端末を操作する際には、良い姿勢を保つことが重要です。いままで「姿勢」すなわち背骨の配列は、放射線画像を撮影しなければ正確に把握することは困難でした。しかも経時的な姿勢情報のモニタリングは不可能でした。そこで東北大学工学部発のベンチャー企業が、いつどこでも姿勢を確認できる装置として、メガネに装着する小型の「背骨計」(図)を開発し、当科が全面的に協力してその検証を行っています。この「背骨計」は、頭部の傾きと頭部-画面間の距離を計測し、それらのデータから姿勢を推定するものです。私達の今までの研究により、頭部の傾きと頭部-画面間の距離は、頚椎の配列や傾きと極めて高い相関があり、さらには腰椎の配列とも高い相関があることが示されました。この研究結果により、「背骨計」の原理は国内特許を取得し(特許7007777号)、現在米国・欧州特許も出願中です。2023年中には一般向けに発売すべく、開発を進めています。