東北大学脊椎外科懇話会の歴史と活動内容

 1987年、国分正一名誉教授(当時講師)により東北大学脊椎外科懇話会(以下、懇話会)が発足されました。東北大学脊椎外科グループがカバーする人口400万人の診療圏において、脊椎外科医の育成と教育、手術術式の標準化と普及、多施設研究による診断・治療法の検証と開発を行うことがその目的です。

 1987年10月31日、第1回東北大学脊椎外科懇話会・勉強会が開催されました。以後、その勉強会では主に若手整形外科医が脊椎外科疾患のテーマについて、論文を読破して資料を作成し、1時間の講演を行う形式が定着しました。新型コロナの感染拡大で、ここ2年間は休会を余儀なくされたこともありますが、勉強会は2021年8月28日に第120回を迎えます。

 また懇話会には、大きな事業が3つあります。脊椎外科セミナー・手術登録・多施設共同研究です。

 脊椎外科セミナーは、1982年5月に、西多賀病院脊椎外科セミナーとして始まりました。整形外科医に脊椎外科の実地的な知識と技術を授けることを目的としたものです。懇話会発足後、第9回から東北大学脊椎外科セミナーに移行し、以後2019年までに58回を数えております。全国からの参加があり、のべ900名以上の先生が勉強してきました。

 脊椎外科手術登録は1988年に始まりました。当時脊椎外科手術の多施設・大規模なデータベースは国内に前例がなく、世界的にもスウェーデン(当時人口900万)が同年に登録を開始していたのみでした。登録を開始した1988年の年間脊椎手術件数は892件でしたが、2018年には4,649件と、約30年間で年間手術数は5.2倍となっています。また2019年までの累計脊椎手術登録数は85,975件にのぼっています。近年の高齢者人口比率が上昇したこと、患者さんの脊椎手術に対するご理解が広まったこと、そして診療圏内の脊椎外科医の増加に伴い多くの患者さんのニーズに応えてきたことの結果、脊椎手術数が増加してきました。

 多施設共同研究は、20を超える東北大学関連病院が参加し、脊椎手術データベースを用いた疫学的研究や、脊椎疾患を対象とした前向き研究が行われてきました。現在に至るまで国内外の学会、および学術雑誌に多数の報告をしております。未来の患者さんの診断や治療に役立ち、さらには脊椎外科の発展に貢献すべく日々努力を続けております。

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